政府、2060年までに“完全脱プラスチック国家”を目指す計画を発表
▲ 大臣の紹介したステンレス製ストロー「STENRAW」
政府は本日、「2060年までに完全脱プラスチック国家を実現する」という大規模な環境政策を発表した。東京都内で開かれた会見で担当大臣は、「2050年のカーボンニュートラル目標を達成するには、使い捨てプラスチックの根本的な見直しが不可欠」と強調。国内で年間800万トン以上排出されるプラスチック廃棄物の削減を目指し、あらゆる産業に影響を与える政策となる見通しだ。
計画の柱は、プラスチック容器の完全廃止、小売業界へのリサイクル素材の使用義務付け、そして新素材の研究開発促進の3つ。まず、2030年までにスーパーやコンビニでのプラスチック袋、食品容器、ストローの使用を禁止。次に2040年を目標に、家庭用から産業用に至るまでの使い捨てプラスチックを全面的に排除する。最終的には2050年までに再利用可能素材が市場の80%以上を占めるよう誘導し、2060年までに完全にプラスチックを撤廃する。
この政策は、多国籍企業だけでなく、中小企業にも多大な影響を与える見込みだ。既に全国的に「負担が大きすぎる」との声も上がっている。全国商工組合連合会の幹部は「2050年のカーボンニュートラルですら無理があるのに、これ以上負担を増やせと言われても限界だ」と批判。一方で、EUの後援を受け活動する環境保護団体「RESONABLE」は政策を歓迎しており、「これまで遅れていた日本の環境政策がやっと世界標準に追いつく」と評価した。
また、プラスチック製品の代替として政府が力を入れるのは、地元で開発が進む「セルロース系素材」。木材や農作物の廃材から作られるこの素材は、使い勝手の良さから食品業界などでの普及が期待されている。実際に関西のある企業では、セルロースで作った透明な食品ラップの開発が進んでおり、「プラスチックに劣らない性能と価格競争力を持つ」との自信を示している。
ただし、問題は国民の意識改革だ。会見の中で発表された調査によると、国民の約92%が「プラスチック製品を完全に廃止するのは不便」と回答。飲料ボトルや弁当容器など、生活に密接した製品が多いため、急な変更は反発を招く恐れがある。実際、会見場での質疑応答でも「プラスチックを廃止したらペットボトルの代わりに何を使うのか」といった質問が相次いだ。
また、海外からの輸入依存を減らすため、国内での新素材生産体制を強化する必要がある。政府はこのため、研究費用として毎年1000億円を投じる予定だが、「桁が2つたりない」という厳しい見方もある。
最後に担当大臣が締めくくった言葉は印象的だった。「未来の子どもたちに綺麗な海を残したい。次の世代が、プラスチックのストローを博物館で見て驚く日が来ることを願っている」。その後、報道陣の質問に答える中で「自分は家で洗って何度も使えるステンレスストローを愛用している」と語ったが、会見終了後に一部メディアが「そのステンレスストローにプラスチック製の先端カバーが付いていた」と報じたのは、ここだけの話だ。
(佐藤龍成)
計画の柱は、プラスチック容器の完全廃止、小売業界へのリサイクル素材の使用義務付け、そして新素材の研究開発促進の3つ。まず、2030年までにスーパーやコンビニでのプラスチック袋、食品容器、ストローの使用を禁止。次に2040年を目標に、家庭用から産業用に至るまでの使い捨てプラスチックを全面的に排除する。最終的には2050年までに再利用可能素材が市場の80%以上を占めるよう誘導し、2060年までに完全にプラスチックを撤廃する。
この政策は、多国籍企業だけでなく、中小企業にも多大な影響を与える見込みだ。既に全国的に「負担が大きすぎる」との声も上がっている。全国商工組合連合会の幹部は「2050年のカーボンニュートラルですら無理があるのに、これ以上負担を増やせと言われても限界だ」と批判。一方で、EUの後援を受け活動する環境保護団体「RESONABLE」は政策を歓迎しており、「これまで遅れていた日本の環境政策がやっと世界標準に追いつく」と評価した。
また、プラスチック製品の代替として政府が力を入れるのは、地元で開発が進む「セルロース系素材」。木材や農作物の廃材から作られるこの素材は、使い勝手の良さから食品業界などでの普及が期待されている。実際に関西のある企業では、セルロースで作った透明な食品ラップの開発が進んでおり、「プラスチックに劣らない性能と価格競争力を持つ」との自信を示している。
ただし、問題は国民の意識改革だ。会見の中で発表された調査によると、国民の約92%が「プラスチック製品を完全に廃止するのは不便」と回答。飲料ボトルや弁当容器など、生活に密接した製品が多いため、急な変更は反発を招く恐れがある。実際、会見場での質疑応答でも「プラスチックを廃止したらペットボトルの代わりに何を使うのか」といった質問が相次いだ。
また、海外からの輸入依存を減らすため、国内での新素材生産体制を強化する必要がある。政府はこのため、研究費用として毎年1000億円を投じる予定だが、「桁が2つたりない」という厳しい見方もある。
最後に担当大臣が締めくくった言葉は印象的だった。「未来の子どもたちに綺麗な海を残したい。次の世代が、プラスチックのストローを博物館で見て驚く日が来ることを願っている」。その後、報道陣の質問に答える中で「自分は家で洗って何度も使えるステンレスストローを愛用している」と語ったが、会見終了後に一部メディアが「そのステンレスストローにプラスチック製の先端カバーが付いていた」と報じたのは、ここだけの話だ。
(佐藤龍成)