地球温暖化対策①:南極を太陽光パネルで覆う計画始動

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▲ 設置が始まった大量の太陽光パネル群

地球温暖化が加速する中、南極大陸を活用した前代未聞のプロジェクトが始動した。国際環境連合(International Environmental Union、IEU)は、南極の氷原の一部を覆う形で大規模な太陽光パネル群を設置する計画を発表した。プロジェクト名は「ホワイトソーラープロジェクト(White Solar Project)」。冷涼な南極の環境を逆手に取り、温度管理が容易な地域で効率的に太陽光発電を行うのが狙いだ。
南極を選んだ理由として、IEUは次のように説明する。南極は一年を通じて高い日射量を得られる地域が存在し、太陽光発電に適している。また、従来の都市部の発電所とは異なり、人口が少ないため、発電設備の設置に伴う社会的影響も少ないとされる。
プロジェクトの初期段階では、南極大陸の端に位置する「キングスウェル高原」というエリアを対象とし、約100平方キロメートルの氷原にパネルを配置する予定。ここで得られた電力は、海底ケーブルを通じてオセアニアや南米の一部に供給される計画だ。
この構想には賛否が分かれる。賛成派は、「南極の自然エネルギーを活用すれば、地球全体のエネルギー転換が加速する」と期待感を示す。一方で反対派は、「設置に伴う生態系への影響が未知数であり、南極の自然環境を損なう可能性が高い」と懸念を表明している。
特に、南極に生息するペンギンやアザラシへの影響を懸念する声が大きい。これに対し、プロジェクト責任者のJack Doodle氏は、「パネル設置エリアは生物の生息域と重ならないよう細心の注意を払っている。すでに環境影響評価を終えており、問題はないと考えている」と強調した。
また、このプロジェクトには各国の大手エネルギー企業も参加を表明している。中でも、再生可能エネルギー事業に注力するヨーロッパの企業Green Electora社は、今回の取り組みに1兆円規模の投資を決定した。技術提供やパネル製造は、日本の大手メーカーが主導する形となる。
一方、南極での発電という斬新なアイデアが国際社会で注目される中、実現までの課題も多い。厳しい気候条件下での工事や、送電技術のさらなる改良が求められている。環境活動家の間でも「成功すれば大きな一歩になるが、失敗すれば取り返しのつかない結果を招く」という声が聞かれた。
「ホワイトソーラープロジェクト」は今後数年間にわたり段階的に進められる予定だ。第一段階の工事は来年初頭から開始され、2028年までに本格稼働を目指す。
(中島肛太)

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