東京都内の新規車両登録を禁止へ。公共交通推進で賛否両論

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▲ この景色も今年で見納めとなるのか

東京都が来年度から、都内での新規車両登録を原則禁止する方針を発表。背景には、深刻化する大気汚染と交通渋滞の問題がある。対象はガソリン車とディーゼル車で、電気自動車(EV)や一部の営業車両は例外となる見通しだ。新たな規制により、東京都内で新規に自家用車を所有することが事実上難しくなる。
都市計画に関わる都関係者は、「東京はこれまで車中心の都市だったが、これを機に公共交通を主体とした持続可能な街へと変わる必要がある」と説明。新規登録禁止と並行して、地下鉄やバスの路線拡充、自転車専用レーンの整備が進められる予定だ。
市民からは賛否の声が相次いでいる。新宿区に住む30代の会社員は「正直、車を持たない生活に慣れているから大賛成。都内で車なんて邪魔だし、渋滞も減れば助かる」と評価。一方、郊外エリアに住む40代の主婦は「買い物や子どもの送り迎えを考えると車がないと生活が回らない。代替手段が整うまで無理がある」と反発している。
経済界からも懸念の声が上がる。自動車業界に精通する田中政宗教授は「首都圏の市場が縮小すれば、地方経済にも影響が波及する。慎重に議論を進めてほしい」とコメント。一方で、都内を中心に活動する環境保護団体A-stockは「一歩踏み出した政策として評価できるが、電気自動車の普及や再生可能エネルギーの導入も併せて進めるべきだ」と提言した。
一方、路上駐車が絶えないエリアでは早くも「これで車が減れば、歩きやすくなるのでは」と期待する声も。地元の商店街では「来年から馬車を引くビジネスを始める」という内容の冗談交じりの張り紙が話題になっている。張り紙の端には小さく「観光用として、いかがですか?」と添えられていた。
(佐藤未来)

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