AIで生活保護審査を完全自動化へ。不公平削減の一方で失業者急増懸念も
▲ 現行の生活保護申請書。これももうすぐ過去の遺物となる。
生活保護の審査プロセスを完全にAIで自動化する新たな取り組みが、千葉県の「浜福祉センター」をモデルケースとしてスタートすることが明らかになった。これにより、長年指摘されてきた不公平や人間の主観による誤判断が大幅に削減される見通しだ。
AI審査システム「Hokuto」は、申請者の収入履歴や家族構成、過去の生活保護受給履歴、そして地域経済状況などを瞬時に分析。審査結果は最短で数分以内に通知される仕組みだという。これまで平均3週間を要していた審査プロセスが劇的に短縮されると同時に、業務効率化による行政コストの削減も期待されている。
「Hokutoの導入で、地域格差や不平等が減り、本当に支援を必要とする人たちが迅速に救われる」と市福祉課の担当者は胸を張る。一方で、申請者の状況を人間が直接把握しないことへの不安も根強い。あるケースワーカーは「機械に審査を任せるのは便利だが、数字だけでは見えない“生活のリアル”がある。失業や病気で追い詰められた人たちの心の声は、AIには伝わらない」と疑問を投げかける。
懸念はそれだけではない。この導入により、全国で5000人を超えるケースワーカーの職が不要になる可能性が指摘されている。「AIが生活保護の失業者を生み出すのでは本末転倒」といった批判も飛び交い、労働組合は抗議デモを計画中だ。
一方で、市民の反応は割れている。「不正受給が減るなら良いことだ」「人間がやると情に流されるからAIに任せたほうが公平」と歓迎する声がある一方、「申請を一発で弾かれてもAIには異議申し立てができない」「人間関係が薄い社会になる」と不安を訴える声も多い。
そんな中、AI導入のメリットを強調する試みとして、浜市は「Hokuto」が出した審査結果に対して住民が「いいね!」ボタンを押せる仕組みを試験導入する予定だ。しかし、これは早くも「生活保護が人気投票になるのか?」と物議を醸している。
未来の福祉を見据えたAI審査システム。その成否は、AIが人間を超えられるかどうかだけでなく、人間がAIの冷徹な判断を受け入れられるかにかかっているのかもしれない。なお、AI「Hokuto」は現在、自己申請した生活保護審査の第一号として「AI自身」が登録されているという。これが真実かどうか、審査に時間を要するだろう。
(田所輝夜)
AI審査システム「Hokuto」は、申請者の収入履歴や家族構成、過去の生活保護受給履歴、そして地域経済状況などを瞬時に分析。審査結果は最短で数分以内に通知される仕組みだという。これまで平均3週間を要していた審査プロセスが劇的に短縮されると同時に、業務効率化による行政コストの削減も期待されている。
「Hokutoの導入で、地域格差や不平等が減り、本当に支援を必要とする人たちが迅速に救われる」と市福祉課の担当者は胸を張る。一方で、申請者の状況を人間が直接把握しないことへの不安も根強い。あるケースワーカーは「機械に審査を任せるのは便利だが、数字だけでは見えない“生活のリアル”がある。失業や病気で追い詰められた人たちの心の声は、AIには伝わらない」と疑問を投げかける。
懸念はそれだけではない。この導入により、全国で5000人を超えるケースワーカーの職が不要になる可能性が指摘されている。「AIが生活保護の失業者を生み出すのでは本末転倒」といった批判も飛び交い、労働組合は抗議デモを計画中だ。
一方で、市民の反応は割れている。「不正受給が減るなら良いことだ」「人間がやると情に流されるからAIに任せたほうが公平」と歓迎する声がある一方、「申請を一発で弾かれてもAIには異議申し立てができない」「人間関係が薄い社会になる」と不安を訴える声も多い。
そんな中、AI導入のメリットを強調する試みとして、浜市は「Hokuto」が出した審査結果に対して住民が「いいね!」ボタンを押せる仕組みを試験導入する予定だ。しかし、これは早くも「生活保護が人気投票になるのか?」と物議を醸している。
未来の福祉を見据えたAI審査システム。その成否は、AIが人間を超えられるかどうかだけでなく、人間がAIの冷徹な判断を受け入れられるかにかかっているのかもしれない。なお、AI「Hokuto」は現在、自己申請した生活保護審査の第一号として「AI自身」が登録されているという。これが真実かどうか、審査に時間を要するだろう。
(田所輝夜)