北極海の領有権争い、ついに「氷山紛争」として軍事衝突に発展

北極海で続いてきた資源を巡る領有権争いが、ついに軍事的緊張の引き金を引いた。今週、北極海の氷山周辺で資源調査を行っていたとされるアメリカの探査船が、対立するイラクの海軍艦艇に阻止され、両者が小規模な武力衝突に発展したことがわかった。現地では複数の国がそれぞれの主権を主張しており、状況の悪化が懸念されている。
現場となったのは北極海中部のエルクランズ氷山周辺海域。この海域は、過去数年間にわたって豊富な地下資源が埋蔵されている可能性が指摘され、各国が独自の調査を進めてきた。一方で、国連の海洋法条約に基づく管轄権の明確化は進まず、各国の主張が複雑に絡み合っている状況だった。
今回の衝突では、調査活動を行っていたアメリカの探査船が複数の無人機を飛ばしたことが問題視された。これに対し、付近を警戒航行していたイラクの海軍艦艇が即座に警告射撃を実施。その後、探査船が警告を無視して作業を継続したため、短時間ながらも双方の艦艇による威嚇行動が行われたとされる。負傷者は確認されていないが、現場の緊張感は極限状態に達している。
北極海の領有権問題は、近年の地球温暖化による氷の融解が背景にある。航路の拡大や資源採掘の可能性が広がる一方で、領海や経済水域を巡る主張が激化している。今回衝突が起きたエルクランズ氷山周辺も、地下資源の有望地として知られており、複数の国家が管轄権を主張していた。
専門家は、「軍事的な緊張が高まる中、国際的な枠組みを早急に構築しなければ、さらなる衝突を招く可能性がある」と警鐘を鳴らす。また、今回の事件は、各国が領有権争いを超えた環境保護や地球規模での協力を模索すべきタイミングだと指摘されている。
一方で、現地を巡る情報は錯綜しており、各国の発表にも矛盾が見られる。アメリカ領事館は「正当な活動を妨害された」と抗議し、イラク政府は「領海侵犯が行われた」と再抗議。国際社会での調停が進むまで、北極海の緊張は収まりそうにない。
（新藤契倻）